犯人がわかるかも?!IPアドレスから犯人を特定するまでの流れ

インターネット上の掲示板に自身の悪口を書かれていた場合、それは“犯罪行為”である可能性があります。しかし、インターネットというのは匿名の世界で、誰が犯人であるかなんて特定しようと思っても難しいと考えてしまいがちです。では、なぜ警察などに被害を訴え出ると、犯人を突き止めてくれるのでしょうか。答えは、IPアドレスにあります。

IPアドレスと犯人特定

まず、IPアドレスとは?という疑問についてお答えまします。IPアドレスとは、いわゆる「ネットの住所」のようなものです。一人ひとりに割り当てられている番号で、重複するということはありません。例えば、郵便物を届けたいと考えます。その際に、同じ住所が複数あったとすると、配達する人は混乱してしまいます。しかし、現実にはそのようなことはありません。IPアドレスも同様です。IPアドレスは、世界に1つしかない番号で構成されており、重複することはありません。

IPアドレスは、プロバイダーと契約した際に自動的に割り当てられており、この番号がなければインターネットにアクセスすることはできない仕組みになっています。IPアドレスについて学んだところで、実際の行動に移します。掲示板に書き込んだ人のIPを調べるには、まず自身が被害にあっていることを証明しなければなりません。これを、同定可能性といいます。同定可能性とは、「掲示板に書かれている人の悪口が、被害者に対してのものである」と認識されるということです。

例えば、掲示板に「某社の社長Aがやらかしたらしいよ」という文言が書かれていたとします。それをAが発見し、被害を訴えても、全国にAという社長がいれば自身がターゲットになっていると証明しているとは言い難いのではないでしょうか。これと同様に、掲示板に書き込まれている悪口が、必ず本人のものであると証明できなければ、次のステップには進めません。では、自身が被害にあっていると確証が得られたのであれば、そのサイトを保存しておきます。

これは、後々証拠になることもありますので、出来れば印刷してとっておくと良いでしょう。書き込んだ人を特定するには、少なくとも半年以上かかります。その間に、ウェブページが閉鎖されてしまうと証拠が無くなってしまいますので、できれば印刷してください。その際に、必ずURLを記載しておくようにしてください。URLがあれば、証拠として採用される可能性が高くなります。URLは、全文です。省略されてしまうと、特定することが困難になり証拠として採用されません。

次に、掲示板の管理者宛に削除依頼を出します。削除依頼を出せば、すぐにそのページを消してくれます。しかし、中にはなかなか対応してくれないサイトもあります。その後、管理者宛にIPアドレスの開示請求を行います。すぐに開示してくれるところもあれば、開示してくれないところもあります。この場合は、弁護士に頼むと良いでしょう。弁護士が依頼しても対応してくれない場合は、裁判となります。裁判所が、仮処分を出せば管理者は速やかに対処してくれます。

管理者から出されるIPアドレスを使い、プロバイダーに開示請求を行います。プロバイダーは、個人情報を把握していますので、開示されたIPアドレスを使い、開示請求を行えば、個人情報を開示してくれます。この個人情報を開示する根拠は、プロパイダ責任制限法です。被害者の保護を目的として作られた法律で、発信者情報開示請求ができるよう規定されています。しかし、悪口を書かれた個人がプロバイダーに対して開示請求した場合、多くの場合は「拒否」されます。実は、発信者情報開示請求をした場合、「発信者宛に発信者情報開示請求照会書」というものが、発信者に送付され、個人情報を開示してよいか尋ねられます。そこで、開示してもよいと返ってくればすぐに開示されますが、無視または拒否をされると、プロバイダーの方で判断を行い、必要性がなければ拒否されてしまうのです。

誹謗中傷と弁護士

そこで弁護士の出番です。弁護士に依頼すれば、プロバイダーは個人情報を開示してくれますのでその情報を元に、名誉毀損で民事訴訟を起こせます。民事訴訟では、損害賠償請求できます。民事訴訟が始まったとしても、相手が非を認めなければ、判決または和解まで時間がかかります。その間に、相手の悪口を書き込んだりしてしまうと、逆訴訟を起こされてしまう恐れがありますので、注意が必要です。これが、IPアドレスから犯人特定までの流れです。最初から弁護士に依頼するという手もありますが、かなりの費用がかかってしまいます。そのため、ある程度は自身の手で行うと良いでしょう。.

まず、証拠の保存は自身で行っておくべきです。これも依頼してしまうと、かなりの手間賃がかかってしまいます。また、弁護士の先生の判断で証拠採用が進められてしまうため、自身が訴えたいことを取り上げてもらえない事があります。自身が訴えたいことを含めるためにも、自身で証拠集めから証拠保存までしておくべきです。弁護士ですが、同定可能性あたりから依頼すると良いでしょう。証拠を持って行き、弁護士の先生が受けてくれるというのであれば、それは同定可能性が認められた事になりますので、掲示板の管理者やプロバイダーに開示請求をする手続きが始まります。

弁護士が必要なくなる場面もありますが、できれば最初に引き受けてくれた同じ弁護士に依頼すると良いでしょう。弁護士を変えてしまうと、状況説明を何回もしなくてはならず、手間がかかってしまう上、判断が分かれてしまう恐れがあります。そういったことを防ぐために、同じ弁護士に依頼すると良いでしょう。実際に、掲示板に悪口が書き込まれ、精神的な苦痛を味わっていた場合の慰謝料の額は、数十万円から数百万円です。仮に、弁護士費用が100万円かかってしまっていた場合、赤字となり裁判を起こした意味がなくなってしまいます。しかし、近年の裁判所の判例では、「弁護士費用は相手方の負担とする」ということを認めており、裁判に勝利すれば弁護士費用を払うことなく、お金をもらうことができます。このように、掲示板に悪口が書き込まれた場合、IPアドレスから犯人を特定する事ができます。費用も時間もかかってしまいますが、勝算があるのであれば、裁判を起こして損害賠償請求するのも良いでしょう。